劉備たちは夏口にいた。 荊州にいた劉備たちは、平原から華北を統一し、中華全土のほぼ半分を掌中にした曹操の追撃を振り切ってここまできた。 荊州を治めていた劉表が没し、その次男が跡を継いだ。 劉備たちが向かった夏口には劉表の長男がいた。 この兄弟は母親違いで、前妻の子を疎んじていた現在の蔡夫人が自分の子に継がせるために画策していた。 現在荊州は蔡夫人の弟である蔡瑁が軍を掌握している。 蔡瑁は劉備を煙たがっていたので、荊州を頼ってきた劉備に攻撃をしかけた。 いま劉備軍がこちらの方に向かったのは、軍師として迎えた諸葛亮によるものだった。 劉表の長男劉琦を荊州の中心だった襄陽から離したのも諸葛亮の考えだった。 劉琦が諸葛亮に助けを求めたからでもある。 蔡瑁が劉琦を除こうと考えているのがわかったからでもある。 その他にも、これからの劉備軍のために夏口に移したのである。 「そろそろ揚州から使者が参るでしょう」 諸葛亮と劉備ははなしをしていた。 側にいるのは関羽だけで、張飛も趙雲も兵たちの調練に行っている。 夏口は荊州でも揚州と接している。 揚州は孫権が治めている。 孫権は、劉備や曹操と黄巾討伐、董卓討伐連合などに参加し、活躍した孫堅の次男であり、江東の小覇王といわれた孫策の弟である。 どちらかというと、内を固めるタイプで、曹操も揺さぶりをかけているが、揚州は結束が固いようだ。 荊州を制した曹操は、次は揚州を狙う。 孫権は揚州軍だけで戦うのか、それとも劉備軍と同盟を結ぶのか。 その使者がそろそろ来るであろうと諸葛亮は言うのである。 やってきたのは魯粛という男だった。 文官のようである。 表面は劉表の悔やみの帰りに寄ったということになっているが、劉備軍の内実を探りに来たのであろう。 「曹操軍から逃れて来られたようで。これだけ曹操と戦っているのは劉備殿以外あるまい。曹操軍はいったいどのような戦をなさる」 魯粛はさまざまな問いかけをしたが、劉備はただわからないと繰り返していた。 すべて諸葛亮の指示である。 「はて、わからぬとはどういう。劉備殿は曹操軍と戦われたのでしょう」 「なにぶん怖気づいて逃げておりましたので」 魯粛は困惑した表情をした。 「戦は軍師である諸葛亮孔明というこのものに任せております。孔明に聞かれるといいでしょう」 魯粛は質問の矛先を諸葛亮に変えた。 「曹操軍四十万とも五十万ともいいますが、揚州はどうするべきでしょう」 「魯粛殿はどのようにお考えですか」 魯粛は主戦論だった。 はじめそれを明かしていなかったが、諸葛亮に引き込まれた。 しかも諸葛亮は勝てる自信があるようだった。 「では諸葛亮殿、揚州に来ていただき、我が殿に」 こうして諸葛亮は揚州に向かうことになった。 劉備軍と揚州軍の同盟のために。 広告 ケイフローリスト 送料無料で直営/提携店から配達・宅配致します。法人決済可能です。
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